物件
2024.11.11
「クリニック開業成功の鍵」立地選びで最優先すべき5つのポイントと注意点
クリニック開業の成功は、立地で決まると言っても過言ではありません。適切な立地は患者数を増やし、安定した経営につながります。本記事では、クリニック開業時の立地選びで最優先すべき5つのポイントと、見落としがちな3つの注意点を詳しく解説します。クリニック開業の成功確率を大きく高めるヒントになりますので、ぜひ参考にしてください。
クリニックの立地選びで優先すべき5つのポイント
クリニックの立地選びで優先すべきポイントは5つあります。
- アクセスの良さ:患者が来院しやすい場所
- 人口動態:潜在的な患者数の確保
- 競合状況:差別化の可能性
- 視認性:認知度を高める立地、
- 周辺環境:相乗効果を生む施設
それぞれ解説します。
1.アクセスの良さ:患者が来院しやすい場所
アクセスの良さはクリニックの立地を選ぶうえでもっとも重視すべきポイントです。
厚生労働省の発表によると、病院を選んだ理由として「交通の便の良さ」をあげた患者は、外来で27.5%と2位。多くの患者がアクセスの良さを重視していることがわかります。
【出典】厚生労働省 令和2(2020)年受療行動調査(確定数)の概況
公共交通機関からの距離は、駅やバス停から徒歩5分以内が理想的です。とくに高齢者や子ども連れの患者さんは歩く距離が短いクリニックに魅力を感じます。
また、郊外では車で来院する患者さんも多いため、駐車場の有無と広さも重要です。最低でも5台以上の駐車スペースを確保できる立地が望ましいでしょう。駐車場が近くにない場合は利便性が低下するため、ほかのクリニックを選択してしまうケースも考えられます。継続的に来院する患者さんを増やすためには通いやすいクリニックであることが大切です。
2.人口動態:潜在的な患者数の確保
クリニックの経営を安定させるためには、十分な数の潜在的患者が必要です。そのため、立地選びの際には人口動態を綿密に調査しなければなりません。一般的に、人口密度が高い地域ほど潜在的な患者数も多くなります。また、診療科目によってターゲットとなる年齢層が異なるため、地域の年齢構成も重要な要素です。
さらに、将来的な人口推移の予測も考慮に入れるべきです。鉄道や道路などの新たなインフラ整備が進行している地域は人口が増加傾向にあり、長期的な視点で見ても有望な立地と言えるでしょう。一方、過疎化が進み人口減少が予測される地域では、将来的な経営リスクを慎重に検討する必要があります。
クリニックの開業時には、診療圏調査をおこなう場合もあります。診療圏調査は、開業地を中心に地図上で行動圏を円で表し、範囲内の人口に対して受診率を掛け合わせて患者数を予測するものです。診療圏調査は参考にするべきですが、実情に応じた補正も重要です。正確な判断を下すためには、多角的な情報収集と分析が必要になりますので、医業専門の開業コンサルタントへの相談をおすすめします。
3.競合状況:差別化の可能性
クリニックの立地選びにおいて、近隣の競合クリニックを把握することは非常に重要です。競合が多すぎる場合、患者の獲得が困難になる場合があります。まず、半径1km以内にある同じ診療科目のクリニックの数と特徴を調査しましょう。競合が少ない地域は、新規開業にとって有利な立地と言えます。
ただし、競合が多い地域でも、自院の強みを活かせる環境であれば、開業の可能性は十分にあります。たとえば、夜間診療や専門性の高い治療など、ほかのクリニックにない特色を打ち出せる立地を選ぶことが重要です。
4.視認性:認知度を高める立地
クリニックの視認性は、新規患者の獲得に大きく影響します。道路からよく見える場所や、人通りの多い場所は、自然と認知度が高まるため立地として優れています。
とくに主要道路に面した1階や、大きな交差点の角地などは視認性が高く、理想的な立地です。また、大きな看板が設置できるかどうかも重要なポイントです。
視認性の高い立地は、広告費を抑えつつ、新規患者の獲得が期待できます。ただし、このような好立地は家賃も高くなる傾向があるため、コストとのバランスを考慮しなければなりません。
5.周辺環境:相乗効果を生む施設
クリニックの周辺環境は、患者の来院動機や頻度に大きく影響します。相乗効果を生む施設が近くにあれば、より多くの患者を獲得できるでしょう。たとえば、商業施設や大型スーパーが近くにある立地は、買い物のついでに来院する患者が増える可能性があります。また、学校やオフィス街に近い立地は、子どもや働く世代の患者を獲得しやすくなります。
地域の特性に合った立地や物件を選ぶことも重要です。たとえば、高齢者が多い地域では、バリアフリー設計の建物や、低層階の物件が適しています。一方、若い世代が多い地域では、駅近くや繁華街に近い立地が効果的です。
クリニックの立地選びで気をつけたい3つの注意点
クリニックの立地選びで注意すべき点を3つ解説します。
- 将来的な環境変化
- 初期コストと運営コストのバランス
- 法規制と契約条件の確認
1. 将来的な環境変化
クリニックの開業は長期的な事業計画です。そのため、現在の環境だけでなく、将来的な変化も考慮に入れる必要があります。まず、都市計画や再開発の情報を積極的に収集しましょう。大規模な再開発計画がある地域では、数年後に周辺環境が大きく変わる可能性があります。これはチャンスにもリスクにもなり得るため、慎重に評価しなければなりません。
また、人口動態の長期的な変化予測も重要です。少子高齢化が進む日本では、多くの地域で人口減少が予測されています。開業予定地の10年後、20年後の人口予測をもとに、長期的な視点で立地を評価しましょう。
2. 初期コストと運営コストのバランス
クリニックの立地選びでは、初期コストと運営コストのバランスが重要です。好立地を選ぶと初期コストは高くなりがちです。しかし、長期的には安定した患者数を確保し、安定した運営につながります。一方、家賃や内装工事費などの初期コストを抑えるために立地を妥協すると、将来的に患者を獲得するのが難しくなるケースもあります。
初期投資が高額だったとしても、5年以内に回収できる見込みがあれば、その立地は十分に検討する価値があります。長期的な収益性を考慮し、初期コストの回収期間をしっかり見極めましょう。
3. 法規制と契約条件の確認
法規制と契約条件の確認は、見落としがちな注意点です。医療機関の開設にはさまざまな法的制約があります。たとえば、建築基準法や消防法、医療法などの規制をクリアしなければなりません。地域によっては、医療機関の開設に関する独自の条例を制定している場合もあります。
賃貸物件の場合、契約条件の確認も大切です。医療機関としての使用が認められているか、改装の制限はないか、契約期間や更新条件はどうなっているかなど、細かい点まで確認しておく必要があります。法規制や契約条件を事前に確認しておくことで、開業後のトラブルを防ぎ、クリニック経営に集中できます。
診療科目別の立地戦略のポイント
診療科目によって、最適な立地戦略は異なります。たとえば、内科や小児科など日常的な診療をおこなう科目では、住宅地に近く日常的なアクセスの良さを重視します。一方、眼科や耳鼻科などの専門科では、やや広域からの集患を見込める、駅前や繁華街などの立地が効果的です。ご自身の診療科目の特性を十分に理解し、適した立地を選ぶことが成功への近道となります。
クリニック開業を成功させる立地選びのポイント
今回は、クリニック開業における立地選びのポイントと注意点を解説しました。
1. アクセスは良好か(公共交通機関、駐車場)
2. 十分な潜在患者数が見込めるか(人口密度、年齢構成)
3. 競合状況は適切か(差別化の可能性)
4. 視認性は高いか(道路からの見えやすさ、看板設置)
5. 周辺環境は適しているか(相乗効果を生む施設)
6. 将来的な環境変化のリスクは考慮したか
7. 初期コストと運営コストのバランスは適切か
8. 法規制と契約条件は確認したか
これらのポイントをクリアした立地を選ぶことで、クリニック開業の成功確率を大きく高められます。しかし、理想的な立地を見つけるためには、たくさんの時間と労力が必要です。そこで、お勧めしたいのが、医院開業と運営をトータルにサポートする「メディカルシップス」です。
メディカルシップスでは、豊富な経験と多くの実績を持つ専任コンサルタントが、立地選びから開業後の運営まであらゆる場面でサポートいたします。診療圏調査はもちろん、基礎情報さえあれば事業計画策定(収支)のシミュレーションも無料です。ぜひ、お気軽にご相談ください。