Columnコラム
2019年10月3日
医療設計の気を付けるべき落とし穴 Vol.1「設計監理と設計施工」
医療設計のコーディネーターをしています鈴木です。
簡単ではありますが、私の自己紹介をさせて頂きます。
2011年に医科の医療施設に特化した設計事務所の企画営業として勤務し
現在も医療施設専門のコーディネーターとして活動しています。
先生方の新規開業や医療法人の分院開業・移転開業
病院のサテライトクリニックや健診クリニックの開業
また、承継開業によるクリニックの改修など様々な開業に携わり
2017年までに100件以上の施設の担当をさせて頂きました。
今までの経験を基に、医療設計についてコラム紹介をさせて頂きます。
参考にして頂きますと幸いです。
クリニックを開業する際の資金として、
大きな比重を占めていると言われるのが「建築・内装」です。
また、一度創ってしまうと変更が厳しいのも「建築・内装」です。
そのため、開業後に後悔しないように注意をして頂きたいです。
一つ目の注意事項として、「建築・内装」を業者に依頼する時の
『設計監理』と『設計施工』の違いです。
それぞれの言葉を簡単に表すと下の図となります。
一般的に、設計監理と設計施工を業務としている主な業態は下記となります。
■設計監理
・設計事務所
・デザイン事務所 など
■設計施工
・建設会社
・工務店
・ハウスメーカー
・設計事務所
・デザイン事務所 など
会社により異なる場合がありますので、必ず確認をすることが大切です。
また、業務の違いを表にしましたのでご確認下さい。
『設計監理』の場合
設計事務所が図面を作成し、監理業務を行います。
そのため、設計監理料を設計事務所に支払う必要があります。
また、建築会社に建築代金を支払うため、先生の契約先は2つとなります。
『設計施工』の場合
建築会社が図面を作成し、建築致します。
そのため、設計料と建築代金を建築会社へ支払いとなり、先生の契約先は1つとなります。
ここで、このような疑問が出てくると思います。
設計と施工を分けた方が良いのか?
それぞれメリットとデメリットがありますので
ご自身の開業の場合、どちらが良いのかを検討し選定する方が良いと思います。
【設計監理】
<メリット>
〇検査・監理体制の厳格化
〇設計やデザインが自由(構造・仕様)
〇設計者が施主の代わりを勤める
〇建築会社をコンペすることにより、コスト削減となる場合がある
<デメリット>
▲設計監理料が別途発生
▲打ち合わせ期間が長め(設計+建築見積+チェック)
▲建築業者の体力(信用) 特に中小の企業の場合
【設計施工】
<メリット>
〇独特の工法(2×4、軽量鉄骨など)
〇設計~見積~工事までの流れがスムーズ
〇工期の短縮が可能(認定材料の場合)
〇信用リスクの心配少ない 大手企業の場合
〇設計と施工が同じため、何かあった時の対応が早い
<デメリット>
▲施主自らが図面と見積内容をチェック
▲仕様によりデザインが限られる場合がある
設計監理・設計施工いずれにしても共通する注意点があります。
打ち合わせを行う担当者
(設計監理の場合→設計者、設計施工の場合→設計者、施工者)が
医療施設の経験があるのか?です。
医療施設と言っても、歯科や薬局と回答する人もいますので
ご自身と同じ科目の経験有無を確認することが大切です。
後から後悔しないためには、
安心して任せることが出来る担当者を選定することです。
次回は医療設計においての
「内装設計のポイント」についてご紹介させて頂きます。
鈴木 伸
2006年、日本医療情報センター(現:リクルートメディカルキャリア)に転職。
勤務医のキャリアアップ情報誌「ジャミックジャーナル(現:リクルートドクターズキャリア)」の
開業情報およびクリニック開業のためのセミナー型イベント「ジャミック開業予備校」の企画営業・運営に携わる。
2011年、医療施設に特化した設計事務所のリチェルカーレに企画営業として転職。
2017年、リチェルカーレの代表が設立した医療・介護施設に特化した設計事務所のラカリテの営業として活動。
2017年時点で100件以上の医科クリニックの新規開業・分院開業・移転開業・承継開業による改修など携わる。
その他、開業セミナーにて「医療設計」や「物件選定」についての講演など多数あり。
株式会社ラカリテ
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