失敗しないクリニック開業物件選定 Vol.1「科目別面積と形状」 | メディカルシップス

Columnコラム

2019年10月3日

失敗しないクリニック開業物件選定 Vol.1「科目別面積と形状」

医療設計のコーディネーターをしています鈴木です。

 

前回の「開業形態」に続き今回は、科目別面積と面積の考え方について記載致します。

科目別面積の目安を表にまとめてみました。ご確認下さい。

 

この面積はあくまで目安となります。
そのため、この面積より少ない面積で開業している先生もいますし、
この面積だと足りないと言うことで大きい面積で開業している先生もいます。
参考数字として、ご理解頂きますようお願い致します。

 

また、面積の考え方について注意点があります。
それは、形状と排水位置、柱です。

 

形状
下記の図のように、同じ30坪だとしても、長方形と正方形では、レイアウトが異なります。
また、矢印のように出入口が建物の端と中央の位置が違うだけで、レイアウトが異なります。

 

一般的にレイアウトのし易さは、長方形で入口が端となります。

一つの例をご紹介致します。

 

赤の矢印が記載している部分がクリニックの出入口となります。
出入口個所に待合室があり、右に受付・診察室・X線室・処置室と

横に並べることが出来ます。
また、患者さんの動線(表動線)とスタッフさんの動線(裏動線)を
図面の上と下で明確に分けることが出来るため効率的な配置となります。

 

 

排水

意外と思われるかもしれませんが、排水の位置や個数によりレイアウトの制限があります。

水を流す時、原則重力による自然勾配で排水を行います。

そのため、排水がある位置に必然的に水回り(トイレ・手洗い・流し等)を

配置する必要があります。 下記の図をご確認下さい。

 

手洗いの水は固形物が少なく、比較的高い位置から水を流すため
排水位置から多少遠くても設置可能です。
トイレは固形物を流すこと、そして低い位置から水を流すため、
詰まり予防として、排水位置の近くに設置する必要があります。

 

上記より、排水の数が多いほど、トイレや手洗い等を設置できるスペースが広がります。

1ヵ所しかないと、そこに集中させないと行けないため、 レイアウトに制約となる場合があり、

希望の配置が出来なかったり、 通路などに面積を割り振らないといけないこともあります。

排水の詳細につきましては、医療設計のコラムにて紹介する予定です。

こちらもご確認頂きますと幸いです。

 

テナントの中には、区画内に柱がある場合があります。

 

柱は建物を支える構造のため、壊すことが出来ず、柱がある状態で借りることになります。

物件の面積表記の多くは、区画内の面積となります。

つまり、柱も面積に含まれているため、面積と実質的に使用可能な面積が異なります。

また、柱によりレイアウトの制約となる場合があります。

柱の本数が多かったり、柱のサイズが大きい物件は、 効率的にレイアウトが出来なかったり、

面積が足りないと 感じることもありますので注意が必要です。

 

上記より、一概に何坪だから自分の科目は大丈夫! と思うのではなく、

形状、排水位置と数、柱がどうなっているのか? も確認する必要があります。

 

最後に物件を内見する際、出来れば医療施設経験のある担当者に同席をお願いし、

一緒に確認をすることがお勧めです。

 

次回は、現地確認についてご紹介したいと思います。

 

 

 

鈴木 伸

2006年、日本医療情報センター(現:リクルートメディカルキャリア)に転職。

勤務医のキャリアアップ情報誌「ジャミックジャーナル(現:リクルートドクターズキャリア)」の

開業情報およびクリニック開業のためのセミナー型イベント「ジャミック開業予備校」の企画営業・運営に携わる。

2011年、医療施設に特化した設計事務所のリチェルカーレに企画営業として転職。

2017年、リチェルカーレの代表が設立した医療・介護施設に特化した設計事務所のラカリテの営業として活動。

2017年時点で100件以上の医科クリニックの新規開業・分院開業・移転開業・承継開業による改修など携わる。

その他、開業セミナーにて「医療設計」や「物件選定」についての講演など多数あり。

 

株式会社ラカリテ

http://www.laqualite.jp/  

 

 

 

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