Columnコラム
2019年10月4日
失敗しないクリニック開業物件選定 Vol.2「開業形態編① 戸建て・テナント・承継」
医療設計のコーディネーターをしています鈴木です。
先生方がクリニックを開業をする際に重要事項となる物件選定について
私が経験してきたことを紹介していきたいと思っております。
設計や工事の視線として紹介いたしますので、
コンサルタントさんなどがご紹介する内容とは異なる場合があります。
先生方の開業を検討する際の参考にして頂きますと幸いです。
今回は、開業する際の「開業形態」について、ポイント別にご紹介致します。
形態は、図に示す通り大きく分けて3種類となります。
1、戸建て(建築)
2、ビル診(内装)
3、承継
一般論となりますが、それぞれのメリット・デメリットをご案内致します。
1、戸建て(建築)
<メリット>
〇レイアウトが自由
〇インフラ環境に左右されることがほとんど無い
〇建物の外観に特徴を出すことにより認知されやすい
〇建築中(または建築前)から周辺の注目を集めやすい(認知性が高い)
〇駐車場が確保し易い などなど
<デメリット>
▲初期投資がかかる
▲主要駅の駅前などの情報が出てくることが少ない
▲好立地の土地情報が出辛い
▲設計や建築に期間がかかるため、開業までに時間がかかる
▲(単独開業の場合)調剤薬局の誘致が難しい場合がある などなど
2、ビル診(テナント・内装)
<メリット>
〇主要駅の駅前など人が集まる場所で開業が可能
〇商業施設やスーパーなど集客力がある場所で開業が可能
〇首都圏の場合、テナント情報が多いため、希望エリアでの開業が行い易い
〇初期費用が比較的抑えられる
<デメリット>
▲インフラ設備の確認が必要(電気容量・給排水設備・バリアフリー・空調換気など)
▲駐車場や駐輪場の確保が難しい
▲一般テナントの場合、契約期間が短いことが多い(更新料の発生)
▲同居のテナントに影響されることがある
▲形状や設備により設計・レイアウトが限られる場合がある
▲近くに競合医院が開業する場合がある などなど
3、承継
<メリット>
〇クリニックが既に周囲に認知されている
〇患者さんを引継ぐことが出来る(患者見込みがある)
〇収入の計画が立てやすい
〇職員を引継ぐことが出来る などなど
<デメリット>
▲クリニックが老朽化(建物・設備・医療機器など)している場合がある
▲改修工事や設備の入れ替えが発生する場合がある
▲工事の際、解体や撤去があるため、金額が予想以上となる場合がある
▲以前の先生の診療スタイルと異なる場合、患者さんが離れる場合がある
▲患者さんのプライバシーに配慮されていない場合がある
▲営業権(暖簾代)が必要となる
▲承継時期を間違えると(閉院済み)、メリットが無くなってしまう
▲職員の給料が高額の場合がある などなど
開業形態には、それぞれメリット・デメリットがあります。
ご希望の場所、先生方が行いたい(目指している)診療、
周辺住民のニーズなど総合的に考え、開業形態を決めて頂きますようお願い致します。
次回のコラムでは開業形態のもう1つ単独開業・複数開業についてご紹介致します。
鈴木 伸
2006年、日本医療情報センター(現:リクルートメディカルキャリア)に転職。
勤務医のキャリアアップ情報誌「ジャミックジャーナル(現:リクルートドクターズキャリア)」の
開業情報およびクリニック開業のためのセミナー型イベント「ジャミック開業予備校」の企画営業・運営に携わる。
2011年、医療施設に特化した設計事務所のリチェルカーレに企画営業として転職。
2017年、リチェルカーレの代表が設立した医療・介護施設に特化した設計事務所のラカリテの営業として活動。
2017年時点で100件以上の医科クリニックの新規開業・分院開業・移転開業・承継開業による改修など携わる。
その他、開業セミナーにて「医療設計」や「物件選定」についての講演など多数あり。
株式会社ラカリテ
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