Columnコラム
2019年10月4日
医療設計の気を付けるべき落とし穴 Vol.2「内装設計のポイント①患者編」
医療設計のコーディネーターをしています鈴木です。
前回は設計監理と設計施工についてご紹介致しました。
今後は「内装設計のポイント」について紹介していきます。
今回は「患者編」として、
次回以降は「スタッフ編」「コスト編」を予定しています。
来院する患者さんが特に気にしているポイントは下記の5つです。
①受付の視認性
当然と思われるかもしれませんが、
受付にいるスタッフからの視認性が重要なポイントです。
(特に入口、待合室、トイレなど)
・入ってきた患者さんへの迅速な対応
・待合室で待っている患者さんの状態チェック
・受付内から待合室への出入り
・受付カウンターの高さと荷物置き場
もう1つのポイントは、
座席で座っている患者さんの視線は 受付以外へ向けることです。
理由として、受付に視線が集まると、
受付事務のスタッフさんは常に監視されている状態とになります。
また、待合室で待っている時間が長い場合、
患者さんがイライラすることもあります。
イライラした視線で見つめられたり、
視線が合った時に「まだですか?」などと話をかけられることもあります。
スタッフさんの緊張を和らげるためにも、
患者さんの視線は受付以外に向けることをお勧め致します。
②患者さん用トイレ
特に出入りの視線やトイレの扉を開けた時に
待合室の中から丸見えになることは避けた方が良いです。
そして、清潔を保つことが重要となりますので、 定期的なチェックと清掃が必要です。
・女性専用トイレの有無
・遮音性(防音性)
その他、トイレ内にどこまで下記の物を備えるのかにて
広さが異なりますので注意が必要です。
・車椅子対応
・小便器の有無
・ベビーシート(オムツ交換台)
・ベビーキープ(ベビー専用チェア)
・小児専用の便器(小児科の場合)
・化粧台 など
最近の傾向としまして、
患者さん用トイレは2つ以上設置することが多いです。
・2つ:女性専用トイレ・だれでもトイレ(男性・女性・車椅子対応)
・3つ:女性専用トイレ・男性用トイレ・だれでもトイレ(男性・女性・車椅子対応)
③レイアウトの解りやすさ
患者さんが呼ばれた際や次に行く部屋が解りやすいことが大切です。
・動線の効率化
・コンパクトな設計 ・移動距離が短い
・混雑する箇所を作らない(特に受付時・会計時)
・案内のしやすさ
・院長室やスタッフルームは奥にする
(患者さんが入らないエリアがベター)
建物やテナントの形状により無理がある場合があります。
その際は、院内サイン等にて誘導を行うことがお勧めです。
また、診療科目により室名サインのサイズや表記を変えたりすることも重要です。
④プライバシーの保護・配慮
患者さんは先生が思っている以上に敏感です!
・会話の内容が漏れていないか?
・診察や処置中に他の患者さんの会話が聞こえてこないか?
・待合室から診察室の中が見えていないか?
完全な対策と言うのは、正直厳しいです。
そのため、配慮を行うことが大切です。
・待合室で音楽を流す
・待合室の椅子の配置に工夫 など
⑤待合室やその他の環境
・バリアフリー
・手摺(トイレ・廊下)
・土足対応
・ウォーターサーバー
・空気清浄機
・加湿器
・採光
・照明器具
・居心地の良さ
・インフォメーション(掲示物・モニターなど)
その他、スタッフさんの対応や
院内の整理整頓具合(特に受付周り)を見ていますので
ハード部分だけでなくソフトな部分も大切となります。
次回のポイントは「スタッフ編」を予定しています。
鈴木 伸
2006年、日本医療情報センター(現:リクルートメディカルキャリア)に転職。
勤務医のキャリアアップ情報誌「ジャミックジャーナル(現:リクルートドクターズキャリア)」の
開業情報およびクリニック開業のためのセミナー型イベント「ジャミック開業予備校」の企画営業・運営に携わる。
2011年、医療施設に特化した設計事務所のリチェルカーレに企画営業として転職。
2017年、リチェルカーレの代表が設立した医療・介護施設に特化した設計事務所のラカリテの営業として活動。
2017年時点で100件以上の医科クリニックの新規開業・分院開業・移転開業・承継開業による改修など携わる。
その他、開業セミナーにて「医療設計」や「物件選定」についての講演など多数あり。
株式会社ラカリテ http://www.laqualite.jp/
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